今回は、「八月納涼歌舞伎」で二つの作品を観ました。
近松門左衛門作「信州川中島合戦」の見どころは・・・
越後国の長尾輝虎(上杉謙信)は、敵対する信玄の軍師である山本勘助を味方につけるため、
勘助の母親越路と妻のお勝を自分の館に呼び寄せることに成功。
ところが、輝虎自ら運んだ料理の膳をその狙いを悟った越路が足蹴にします。
短気な輝虎は激怒して刀を抜きますが、言葉が不自由なお勝が必死に止め、
琴を弾きながら、母の命ごいをする場面が一番の見どころです。
もう一つは、「たぬき」という大佛次郎の新作歌舞伎。
焼場で思いがけず生き返った柏屋金兵衛が、
婿養子の肩身の狭い暮らしにうんざりして別人になりすまして生きるものの、
幼いわが子の声を聞いて自分の家に戻っていくという皮肉な味わいの喜劇です。
現代語が使われていますので、とても分かりやすい作品でした。
たまに、こうした日本の古典芸能に触れるのもいいものですね。